健康で長生きする秘訣(SAS編)

 皆さんは、睡眠時無呼吸症候群というのをご存知でしょうか。これは睡眠中に呼吸が止まる、あるいは止まりかける状態が繰り返し起こる病気です。その結果、途中で目が覚めたり睡眠が浅くなって熟睡できないため、朝起きたときの倦怠感や日中に眠気が起こり、仕事上のミスや居眠り運転の原因にもなり兼ねません。そればかりか、肺から血液に送られる酸素の量が減ること(低酸素血症)により、高血圧、メタボリック症候群ばかりでなく、心筋梗塞や脳卒中、不整脈などの合併症が起こりやすくなり、放置すると生命に危険が及ぶ可能性もあります。睡眠時無呼吸は多くの場合、空気の通り道である気道が塞がることによって起こるので、肥満の人、首が短くて太い人、あごが小さい人に多く見られます。日本人は欧米人に比べて肥満の人が少ないので、この睡眠時無呼吸症候群の人は少ないと思われていましたが、実際には意外と多く、約240万人の日本人が罹患していると言われています。
 治療法は、太っている方は減量が基本で、飲酒や睡眠導入剤の使用を避け、煙草を吸う方は禁煙が必要です。重症の方はマウスピースで気道を広げる方法もありますが、一般的には、睡眠中に鼻にマスクを着け、息を吐くときに圧をかけて気道が塞がらないようにする器械(持続性陽圧換気)が必要になります。仰向けになると舌根が落ちて気道を塞ぎやすくなるので、横を向いて寝ることも効果的です。この病気は眠っている間に起こるので本人はなかなか気づかず、発見が難しいと言われていますが、イビキが激しい、 あるいは息が止まっているとのご家族の指摘で発見されることが多いようです。また、高血圧の治療を受けても特に朝方の血圧がなかなか下がらない方は、この病気が原因である可能性もあります。
 この病気は、血液の中の酸素の濃度を測定できる携帯器具を一晩指先に着ければ診断できます。思い当たる方、気になる方は、お近くの医院にご相談ください。