高血圧について

 
高血圧も動脈硬化を促進する病気の1つです。血圧が高いと血管壁が痛み、それが長く続くと動脈硬化が悪化しますので、血圧を低めにしておく必要があります。みなさんがご自分でできる血圧降下法は、食事療法と運動です。日本高血圧学会は、一日に摂る塩分量を6gにし、肥満を防ぎ、野菜や果物をたくさん食べるように指導しています(ただし果物の糖分は中性脂肪になりやすいので、ほどほどがいいと思いますが)。また、運動する習慣がつくと、それだけでも血圧はある程度下がります。これでも血圧が下がらなければ薬が必要になります。以前は「血圧の薬を一度飲み始めたら一生飲まなければならない」と言われていましたが、今はそんなことはありません。生活習慣を修正して血圧さえ下がればいつでもやめることができます。高血圧を放置して動脈硬化が進行してしまったら、高血圧はもう治りませんし、強い薬が必要になります。この意味からも血圧はできるだけ早い時期からコントロールすべきだと思います。今の薬は重篤な副作用もありませんし、動脈硬化の予防効果も期待できますので、高い血圧を放っておくよりは、薬を飲んだ方が長生きできる可能性が高いと思います。
 では、どれくらいまで血圧を下げればよいのでしょうか? 日本高血圧学会のガイドラインでは、130/85mmHg未満、ご高齢の方は140/90mmHg未満にコントロールするように推奨しています。しかし、血管壁にかかるストレスは少ない方がいいので、めまい、ふらつき等の低血圧に伴う症状や腎臓等の臓器に障害が起こらなければ、血圧はできるだけ低めにした方が動脈硬化の進行を遅らせることができると思います。