倹約遺伝子について

 
「人は血管と伴に老いる」と言われるように、血管の老化、つまり動脈硬化は、人の寿命まで左右します。 動脈硬化は年齢と伴に悪化してくるものですが、それを促進する因子がいくつかわかっています。そのうち「男性であること」や「体質」はどうしようもないものですが、高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満、喫煙は、生活習慣によって良くも悪くもなるので、これを修正できるかどうかで寿命が決まると言っても過言ではありません。 中でも肥満は特に重要で、高血圧、高脂血症、糖尿病の原因となるばかりでなく、最近注目されているメタボリック症候群(後日詳しくお話しします)を引き起こす元となります。 肥満を解消するには、食事と運動の両方が必要です。食事の量を減らすことはとても大事なことですが、それだけではなかなか痩せられません。その原因は、「倹約遺伝子」であることが最近わかって来ました。原始時代の我々の祖先は「飢え」との戦いであったため、食べたものをできるだけ体内に貯蓄する「倹約遺伝子」の多い人が生き延び、それが我々の身体にも引き継がれていると考えられています。このため、食事の量を減らすと身体の中に原始時代の「飢餓」の記憶がよみがえり、この「倹約遺伝子」が働いて新陳代謝を落とすので、なかなか痩せられなくなるのです。ですから運動をしてエネルギーを使うと、代謝を落とすことができなくなって痩せられるというわけです。運動の種類は歩くことが一番ですが、足腰の悪い方は、自転車やラジオ体操等でもかまいません。プールでの水中歩行も効果的です。とにかく身体を動かすことが大切です。