健康で長生きする秘訣(減塩編)

 今回は塩について考えてみたいと思います。太古の昔、生物は塩を身体の中に保持する能力がなかったため海の中で生活していましたが、その能力を得たものから海を離れて陸で生活できるようになりました。しかし塩は貴重なものでしたので、体外に排泄されにくいように幾重にも防御機構が出来上がったのです。しかし塩にあふれている現代ではそれが塩を体内に貯留させる結果となり、高血圧発症の大きな要因となっています。日本人の1日食塩摂取量は一時期に比べると減りましたが、まだ10~12gあります。1日食塩摂取量が3g以下の地域では加齢に伴う血圧上昇が認められず、高血圧に対して減塩はとても有効な手段です。日本高血圧学会では、1日食塩摂取量を6g以下にすることを推奨しています。食塩の過剰摂取は高血圧だけでなく、心肥大や心不全、脳卒中、腎障害、骨粗しょう症、胃がんなどの直接的な原因にもなりますので、血圧が高くない方でも食塩を控えることはとても意味があります。ご家族全員で減塩に取り組んでください。
 しかしいきなり薄味にしてしまうとおいしくないので、少しだけ塩分を減らし、その味に慣れたら更に少し減らす、という風にしてください。減塩療法の手始めは、とにかく塩味が濃いものを食べないことです。例えば味噌汁が濃いときはお湯で薄めても、全部飲んだら食塩摂取量は同じになります。味噌汁や麺類は具や麺だけ食べて汁は飲まないようにしましょう。塩辛いものを食べたのでお茶をたくさん飲んで身体の中で薄めるというのはもってのほかです。食材によっては塩がたくさん含まれていて、味付けをしなくても食べられるものもあります。味見をする前に醤油やソースをかけるのはやめましょう。塩は調理中に使うより、出来上がってから表面に少しかけた方が効果的です。酢や唐辛子、こしょうなどには食塩は含まれていないので、少なくとも血圧に関して悪い影響はありません。有効に活用しましょう。以上のことを参考にして、減塩を心がけてください。