健康で長生きする秘訣(大動脈瘤編)

 動脈硬化が進行すると起こりやすくなる病気の一つに、「大動脈瘤」があります。大動脈は心臓から出た血液を全身に送るパイプの役目をしており、正常であれば弾力があってその内圧(血圧)に十分耐えられますが、動脈硬化が進行すると血管がもろくなり、内圧に耐えられなくなって大動脈の壁の一部が瘤(こぶ)のように大きくとび出て来ます。これを大動脈瘤と言い、この瘤がだんだん大きくなってある程度の大きさになると破裂して突然死に至る危険性が高くなります。この病気の治療法は手術しかありません(発生部位によってはカテーテル治療が可能な場合もあります)が、破裂してから、あるいは破裂寸前の状態で緊急手術になると成功率が下がり、生命に係わる危険性が高くなります。このため早期に発見することが大切です。
 ところがこの病気は症状がないので、早期発見が難しいことが一番の問題点です。最も起こりやすい部位は腹部大動脈ですが、これに関しては自分で見つけられる可能性があります。仰向けに寝てひざを曲げ、お腹の力を抜いて両手でお腹を押さえてみてください。そうするとお腹の真ん中辺りに拍動する大動脈が触れることがあります。拍動が触れたらそれを両手で左右から挟み、その間隔を測ってみましょう。それが4cm以上あったら破裂する可能性がありますので、お近くの医院にご相談ください。お腹の脂肪が厚かったり瘤が触れにくい部位にできた場合には拍動が触れないこともありますので、動脈硬化の危険因子(高血圧、高脂血症、糖尿病、メタボリック症候群など)が多い方は、機会があれば一度腹部エコー検査を受けられることをお勧めします。胸部大動脈に瘤ができた場合は胸のレントゲン写真で見つかることが多いですが、発生部位によっては発見が難しいこともあります。CTではほぼ100%診断が可能です。
 この病気は予防が大切です。予防法の原則は動脈硬化、特に高血圧の予防、および治療です。先に述べた動脈硬化の危険因子がある方は、その是正に努めてください。。