健康で長生きする秘訣(禁煙のススメ編)

 今回は煙草のお話をします。すでにご存知の方も多いと思いますが、習慣的に喫煙すると、種々のがん、狭心症、心筋梗塞、動脈瘤、喘息、肺気腫ばかりでなく、胃潰瘍、骨粗しょう症、白内障などの健康被害も起こりやすくなり、また女性の方は不妊や種々の妊娠合併症を引き起こしたり、低出生体重児や乳幼児突然死症候群が起こる危険性が高くなります。また寿命にも影響し、35歳の男性で煙草を吸っている人は、吸っていない人に比べて平均余命が10年短縮すると言われています。
 では禁煙をすると、どうなるのでしょうか? 一般的には、禁煙すると数時間で血液の中の一酸化炭素濃度が低下し、数日で嗅覚や味覚が改善します。また1〜2ヶ月で咳や痰、喘鳴などの気管支炎症状が改善し、1年経つと軽度から中等度の肺気腫の方の肺機能が改善すると言われています。肺の働きは健康な方でも年齢とともに低下し、喫煙者はその低下のスピードが速くなりますが、禁煙すると5年でそのスピードが非喫煙者と同等になります。冠動脈疾患の危険性については禁煙の2年後から喫煙者に比べて有意に減少し、10年経つと非喫煙者と同じレベルになります。種々のがんの危険性は禁煙の5年後から徐々に低下し、20年経つと喉頭がんの危険性も非喫煙者と同等になります。このように禁煙のもたらす潜在的健康利益は計り知れません。禁煙することで、経済的にも健康の面からも多大なメリットがありますので、煙草を吸っておられる方には禁煙をお勧めします。
 今は健康保険を使って禁煙ができる時代です。昨年10月の煙草の値上げをきっかけに禁煙希望者が殺到し、禁煙補助薬が一時品切れ状態になっていましたが、1月から供給が再開されることになりました。健康保険で禁煙外来を実施している医療機関は、インターネットで「禁煙外来」というキーワードで検索することができますので、これを機会に是非禁煙してください。