健康で長生きする秘訣(高血圧ガイドライン編)

  この度日本高血圧学会から高血圧ガイドライン2009年版が発行されましたので、今回はそれについてお話したいと思います。
皆さんは血圧がどれくらいになったら高血圧と診断されるかご存知ですか?高血圧ガイドラインでは、年齢にかかわらず上の血圧が140mmHg、下の血圧が90mmHgで、2回以上の異なる機会にこの値のどちらか一方でも越えていたら、高血圧として対処することになっています。高血圧と診断されたら塩分制限や運動習慣など、生活習慣を改善しながら経過を見ることになりますが、血圧の値とその方が持っている動脈硬化の危険因子(高脂血症や糖尿病、喫煙習慣など)の数によってその期間が定められています。その期間が過ぎても血圧が140/90mmHg未満にならないときは薬を飲んでいただくことになります(場合によってはすぐに薬を飲んでいただくこともあります)。「血圧の薬は一度飲み始めたら一生飲み続けなければならないので、飲まない方がよい。」という話をよく聞きますが、それは間違いです。たとえ薬を飲み始めても、その後血圧が下がってしまえば、いつでも止めることができます。むしろ高い血圧を放置しておく方が、動脈硬化が進行するので危険です。薬を飲んでからの降圧目標は130/85mmHg未満です。ここで注意して頂きたいのは、上の血圧が130未満ということは120代あるいはそれ以下が目標ということです。ご高齢の方は140/90mmHg未満が一応の降圧目標となりますが、個人差が大きいのでなかなか一概には決め難いところもあります。
これまで述べてきたことは、病院で測る血圧の基準です。病院で測ると血圧が高いが、普段の血圧は低い方(いわゆる白衣高血圧)がおられるのも事実ですので、最近では家庭で血圧を測ることが勧められています。病院での血圧が高くても家庭での血圧が正常なら薬を飲む必要はありませんが、家庭血圧の正常値は125/80mmHg未満と厳しく、135/85mmHgを越えると高血圧として対処が必要になりますのでご注意ください。
家庭での血圧の測り方ですが、測る回数は、朝起きて1時間以内と就寝前の2回がよく、朝は朝食前で薬を飲む前に、排尿後、座って1〜2分安静にした後、夜は座って1〜2分安静にした後に測ることが推奨されています。この安静がとても大事です。血圧は常に変動しており、ほとんどの方は身体を動かすと血圧が上がります。このため安静が充分でないと血圧が高めに出てしまいますのでご注意ください。血圧計に関しては、最近は指や手首で測る血圧計もありますが、必ずしも正確とはいえないため、日本高血圧学会では上腕で測る血圧計を推奨しています。
 心当たりのある方は是非家庭血圧を測っていただき、もし血圧が高いようでしたら、早めにお近くの医院にご相談ください。