健康で長生きする秘訣(閉塞性動脈硬化症編)

 動脈硬化が進行すると下肢が痛むことがあります。この痛みは「間歇性跛行(かんけつせいはこう)」と言って、歩行時に下肢が痺れたり痛んだりして歩けなくなり、しばらく休むと症状が治まってまた歩けるようになるというのが特徴です。
 どうしてこういうことが起こるのでしょうか? 下肢の筋肉はじっとしているときはそれほど血液を必要としませんが、歩くときはたくさんの血液が必要になります。このため下肢に血液を送っている動脈は、それに見合うだけの血液を供給しなければなりませんが、動脈硬化で内腔が狭くなっていると、血流を増やすことができず、相対的に血液が足りなくなって下肢が痛くなるのです。初めは長い距離を歩かないと症状が出ないことが多いのですが、動脈硬化が進行すると、痛みが出るまでの距離がだんだん短くなってきて、ついには安静時にも痛くなり、最悪の場合、足が壊死して切断しなければならなくなることもあります。高血圧や糖尿病、高脂血症、喫煙など、動脈硬化の危険因子が多いと進行が速くなりますので、この進行を防ぐためには生活習慣の是正が必要です。
 しかし、一度症状が出てしまったらそれだけではなかなかよくなりませんので、治療が必要になります。具体的な治療法としては、運動療法や薬物療法を行い、効果がない場合は風船療法やステントという金属の内張りを血管内に植え込む方法、あるいはバイパス手術が必要になります。しかし病変が重症になると、これらの治療の成功率が低下し、たとえ成功してもせっかく広げた病変がまた狭くなったり、バイパスが詰まってしまう危険性が高くなりますので、そういう意味でも早期発見、早期治療が大切です。
 今回お話した症状に心当たりのある方は早めにお近くの医院にご相談ください。